それでも、よかった。 いつか直也に彼女ができて、私が隣にいることが許されなくなったとしても。 私の居場所が直也の後ろであることが変わらなければ、十分、満足だったんだよ。 ―…あの時、まではね。 『……。』 私は再びペンを握り、先生の話に集中する。 生ぬるい風が、私の後ろを通りすぎた。