『あ、ありがとう。』 動揺して、たじろぐようにお礼を言いながら、桜の花びらを受け取る私。 多分。…いや、絶対。 この花びらは私の宝物になって、明日には綺麗に生徒手帳に挟まれていると思う。 「どういたしまして。」 そう言う直也の背中は、既に私から背を向けてる。 また一歩、一歩。 さっき近づいた距離は離れていって。 また、直也は私より先を、歩いていくのだろう。