「……愛未っ!?」 繋がった電話の先で、驚いたような彼の声。 それは、声そのものがひっくり返ったみたいで、なんだか可笑しくて笑ってしまう。 「本当に…っ、本当に愛未なんだよな!?」 何度も存在を確認するように、私の名前を連呼する直也。 その響きが、なんだかガラスものを扱ってるみたいで。 大切にされた私の名前を聞くと、なんだか泣きたくなる。 …バカだな、直也は。 私の携帯からかけてるんだから、私に決まってるじゃん…。