…本当は、傷なんてどうでもいい。 生きれるのなら、 病気が治るのなら、 直也へ想いを伝えられるように、なるのであれば。 傷をつけるぐらいの覚悟、とっくにできてるの。 「……。」 『……。』 シンとした部屋に、時計のカチコチ音のみが響き渡る。 この一瞬、一秒、“死”に近づいてるわけで。 この一瞬、一秒、私は生きている。 ――ねぇ。 傷をつける覚悟も。 “死ぬ”覚悟も。 とっくのとうにできてるんだよ?