お医者さんの妙な声色に、引き寄せられるように顔をあげる。 目の前には、目尻が深いメガネをかけた、いつもと変わらないお医者さん。 …そう。いつもと変わってない、はずなのに。 私にはどこか、変わっているように見えた。 「やっぱり、手術を受けるつもりはないのかい?」 『……。』 お医者さんが半確定的な言い方をするのは、きっと私がなんて答えるか、わかっているから。 実際、私の中で返すべき答えは決まっている。 それでも、私は一瞬だけ考えるような素振りを見せた。