「…もうすぐ。もうすぐ治るよ。」 『……。』 私は、何もかも知ってる。 お医者さんは、困った時は微笑むこと。 嘘や確信できないことを言うときは、目を逸らすこと。 ――ねぇ、なんで今、目を逸らすの? 『そっか~。じゃあ、それまで頑張んなくちゃ。』 お医者さんの言葉が嘘だと知りつつも、それを騙されたフリする私は、どこまでも馬鹿なんだと思う。 けれども、お医者さんの嘘が“私を想っての嘘”だということを私は知ってるから。 だからこそ、何も言えなくなる。