本物の、直也だよね……? 頭のなかでは不完全なその事実を、確かめるために、私は小さく歩み寄る。 目の前にいる直也らしき人物は、額に汗を滲まし、息を荒くさせていた。 『なんで…?』 なんで、いるの…? 直也には手術日も、病室も、全部全部教えてないのに。 まるでタイミングを見張らったように現れた直也は、私の心をかき乱す。 なんだか、ズルいよ…。