当たり前だけど、この扉が直也を連れてくることは、一回もなかった。 扉が開くたびに飛び上がって。 それが看護師さんだったりすると、一気にテンションが下がる。 …そんなことで一喜一憂していた私は、なんだか笑えるし、虚しかった。 『…さて、と。』 両手をベッドについて、私は立ち上がる。 手術に行く前に、1つだけやらなくてはいけないことがあるんだ。