『美嘉ぁ~!体育お疲れ様!』 さっきの沈んだ顔が嘘のように、明るい笑顔を見せる私。 …大丈夫。私、笑えてる。 こういう時の作り笑顔は、昔から得意。 「本当、つかれたよぉ~! マラソンとか、本当、なかったらいいのに!」 プチン、と音を立てながら、私の心に罅が入る。 ちゃんと、わかってる。 美嘉には悪気がないって。 マラソンができて、走れること。 体育に参加できて、みんなと同じように運動できること。 それがどんなに幸せか、美嘉はまだ知らないだけ。