昔から、私は直也のためだったら、なんだってできた。 直也と同じ学校に行くために、苦手な勉強も頑張ったし、 直也と登校するために、朝が苦手な私が早起きをした。 直也を幸せにするために、約束を破ってまで、“嘘”をついたんだ。 「あーみっ!」 それは、少し鼻にかかったような、高めの美嘉の声。 丁度体育が終わったらしい。 横目に見える男子のグランドの方でも、体育教師がピーっと終わりの笛を吹いていた。