傷だらけのラブレター




嘘に、嘘を重ね。
その嘘を守るために、また嘘を重ねる。




一度ついた嘘は、もう取り返しのつかないものになっていた。





「直也頑張れー!」




遠くのグランドの方から、明るい声が聞こえる。



“直也”という言葉に反応した私は、ほぼ無意識に。



声が聞こえる方向へと、身を乗り出していた。





『…っ、うわぁ!』




感嘆の声をあげた私の先には、サッカーをしている直也の姿。




…直也が、走ってる。



まるでボールを独り占めするかのように、直也はボールを華麗なテクニックで操っていた。