朝、寝坊して、慌てて家を出る。 そしたら、直也が少しご機嫌斜めになりながらも、私の家の前で待っていてくれていて。 感情のこもってない冗談混じりの声で謝りながら、直也の後ろを歩いていく。 ――…そんな風に、昔は当たり前だったこと。 それが今、当たり前に戻りかけていたの。 「…愛未!」 前の席にいる直也が、ゆっくりとこちらを振り向きながら、私の名前を呼ぶ。