名残惜しさを感じながらも、密着していた直也の体を引き離す。 離れると、こんなにも寒い。 心が寒いよ…。 『…私、帰る。』 逃げるように、直也から背を向ける私。 せっかく強くなろうと決めたのだから、直也の前でも強い私でいたい。 涙でグチャグチャの顔なんて、直也に見られたくないんだ。 『……。』 弱さから逃げるように、寒さで冷えたコンクリートをスタスタと歩く私。 背中からは、痛いほどの優しい視線を感じる。