「…おい、直也。 体育もうそろそろ始まるぞ。」 「あ、今いく。」 まるで、救世主のように。 タイミングよく現れた直也の友達のおかげで、直也は私の怪しい行動を見ることなく、顔をそちらに向ける。 同時に我に返った私も、その友達のことを呆然と見つめていた。 「わりぃ、愛未。 俺いかなくちゃ。」 『大丈夫っ!』 そう言って私から背を向ける直也に、少しの淋しさと、少しの安心感が込み上げてくる。 行っちゃうのは淋しい。 だけど、こんな汚い感情、直也に知られたくない。