――…知らな、かったの。 この時の私は、直也の気持ちを形に残せたことで、有頂天になっていて。 この先何があるかなんて、想像さえしなかった。 ――ピンポーン―― その時、ちょうど良いタイミングで、チャイムが鳴り響く音がした。 …直也だ。直也が来た。 直感でそう思った私は、慌ててラブレターを机の上に置いて。 直也に会える喜びを噛み締めながら、駆け足で玄関に向かう。