愛未以上の人物を見つけるには、世界は狭すぎた。 「直也先輩…っ!」 鼻にかかったようなその声に、俺は静かに振り向く。 人が出すにしては高すぎて、透明感があるその声は、本物なのかどうか、わからなかった。 「来てくれてありがとうございます!」 『ん…。』 どっちにしろ、声が低いとか高いとか、俺には関係ない。 低くても高くてもいいから。 俺は愛未の声が、好き。