「…愛未ちゃん。」 先生の声に惹きつけられるように、私は俯いていた顔をあげる。 先生はごまかし笑いを浮かべたりせず、こちらを真っ直ぐ見据えていた。 「…確かに死ぬ確率が高いかもしれない。」 『……。』 「けれども、今の医療じゃ、手術以外にこの病気が治ることはないんだよ。」 “愛未ちゃんには、病気を治してほしい” そう、聞こえた気がした。 なんとなく泣きたくなった私は、涙が零れないように必死に上を向く。