(旧)ふたりぼっち兄弟【BL寄り】


―――…あの頃、俺の中で芽生えてしまった歪んだ独占欲が、今、こうやって姿を露にしている。

俺に弟が出来る、そう知った日から、実はひっそり芽生えていた感情に違いない。


弟が出来たら必要とされる(必要とするしかない)存在であろう。

弟が離れていかないような(離れられないような)存在であろう。

弟がいつまでも好いてくれる(求められずにはいられない)存在であろう。


だって俺は兄貴になるんだ。
これから先、ずっと面倒看ることになるんだし、誰よりも弟と過ごす時間も多くなる。

なのに他人に取られるなんて癪だろ?
他人に取られられないような存在になってやる。


カゾクってのは本来、血を分け合った奴をアイし合う構成員のことなんだろ?


じゃあ、俺は、弟をアイしてやるさ。精一杯。

他人に取られないように…、精一杯な。


そんな歪んだ感情が、弟ができると知った時点で芽生えていた。
そうに違いない。
 
 
 
「兄さま、おれの全部をあげましたけど、兄さまの全部、もらいましたけど…、具体的に今からどうすればいいんですか?」


怪我人の弟を布団に横たわらせようとした時、ふと那智が疑問を口にしてきた。

「何だか全部あげるとか…、恋人さん同士が言いそうな台詞ですけど」

「じゃ、セックスでもしてみるか?」

冗談交じりに言えば、「男同士で?」そんなことできるのかとしごく真面目に考える那智がいた。

男同士じゃ気持ち悪いどうのこうのじゃなくて、まずできるかできないかの思考から入る那智は本当に可愛い。


「嘘だ嘘」


俺は一笑して那智に毛布を掛ける。
 
弟は大切だし、他人に渡したくないし、手放したくもないけど、欲情するかっつったらそれは別問題。

俺は那智に欲情したことねぇ。純粋に那智が大事って感じ。

欲情でもすりゃ弟に対して恋愛感情が宿ってるって認めるだろうけど、俺は別に那智に触れたいって思ってるわけじゃないしな。

やっぱ俺は弟を家族として、兄貴として、ずっと独占したいんだと思う。

感情に変化があるかもしんねぇけど、少なくとも今は那智に対して恋愛感情は無い。


まあ那智がシてぇっつーなら、俺はそれに応えてはやると思うけど……。