(旧)ふたりぼっち兄弟【BL寄り】

戸惑い(というより混乱?)を見せてる弟の両頬を包んで、しっかり俺の方に視線を固定させる。


「駄目か?」


弟の漆黒な瞳を見つめ、逃げ場を塞いで、答えを急かす。

口を開閉させる那智はなんて答えていいか分からないみてぇ。
言葉をなかなか発そうとしない。

そんな幼い弟を、俺は優しく、そして卑怯と残酷な手で追い詰めていく。


「那智は兄さまが嫌いか?」
 

勿論、否と答える弟。

俺は口端をつり上げて、新たな魔法の呪文を弟に唱える。 


兄さまにてめぇのすべてをくれ。

兄さまは他人に大事な弟を取られたくないんだ。


今日の騒動でよくそれが分かった。

 
ただ傍にいるだけじゃ満足できないんだよ、那智。

ちゃんと那智が俺の傍にいてくれる、那智が俺から離れないって、安心するには那智の全部をもらわないと。


全部って何か?

てめぇはそんな顔をしてるな。


簡単だ。


那智の体温、感情、生死、時間、全部兄さまにくれ。

他人と共有する時間も体温も感情も何もかも、兄貴の俺にくれ。那智。


優しい那智の何かを、他人にくれてやるなんて勿体ねぇ。

他人にやるくれぇなら兄さまにくれ。



その代わり、兄さまの全部をてめぇにやるから。



兄さまはな、那智。


那智と一緒にいられるなら近親相姦だとか、ホモやゲイだとか言われて、周囲から差別されてしまってもいいや。


那智がいればどんなことでも耐えられる。


大丈夫、俺はてめぇを捨てない。

ずっと傍にいてやっから。