最後の台詞に那智は零れんばかりに目を見開いた。
「兄さま?」
何を言っているのだとばかりに顔を覗き込んでくる那智は、真ん丸で円らな瞳を俺に向けてくる。
自分でも、最後の台詞は無意識の内に発したと思う。
口に出して自身、驚きかえっている。
けど口に出して気付く。
俺は那智が欲しいんだって。
性欲的意味じゃねえ、本能的に那智が欲しいんだって。
私物にするっつったらおかしいけど、なんっつーか、那智が俺が絶対に俺の傍にいるって確かな関係と証拠が欲しいんだ。俺は。
那智と俺の確かな約束が欲しい。
いつも唱えていた魔法の呪文以上に強力な証が欲しい。
『離れるな・傍にいろ・ずっと一緒だ』
そんな口実だけじゃどーにもなンねぇんだって気付いた。
今日、那智が怪我して現れた時、大学の奴等に那智を見られた時、話し掛けられた時、言いようのない恐怖を感じた。
他人から那智を奪われるような気がしたんだ。
事件を起こした犯人に那智を、大学の奴等に接触して那智を、取られる気がした。
俺は生まれた時から那智を看てきた。
孤独から抜け出せると同時に、那智は俺を孤独から救ってくれた。限りなく純粋な家族愛が那智には芽生えている。
きっと変わることは無い愛情だ。
これから先も俺は那智っつー家族を愛し続ける。他人なんざ興味さえ湧かない。



