「少しばかり仲良過ぎないか? ずっと一緒って」

「何かおかしい会話でもしてるか?
俺等兄弟は今までずっと二人きりで生きてきた。
ずっと一緒にいてぇって思うのも当然だろ?

女も恋人も結婚もいらねぇや。
俺には弟がいればそれでいい。
弟さえいれば、他に何もいらない。

―…だから俺から弟を奪う奴は誰だろうと赦さない。
誰であろうと、な」


シニカルに笑う俺に絶句する二人。


直後、


「身近にまさかの近親相姦者がっ!」


しかも友人があろうことかホモだったなんてっ!
素っ頓狂な声を上げて驚いている優一に、


「声を落とせって!
近所に聞こえるだろ!

こういうのってデリケートな問題だろ!」


浩司が盛大なツッコミをした。


近親相姦、ホモねぇ。
一応家族愛で言ってるんだけどなぁ。

まあ、どう思われても構わない。


今の俺の胸に締めているのは、那智を傷付けた奴への殺意。

そして那智に対する大きな独占欲だった。



(那智がずーっと俺の傍にいるには、口実だけじゃ駄目なのか。
何か目に見える新たな関係を作ればいいのか? じゃあ俺が奴等の言うような関係だったら…)




嗚呼、そうか。


俺が近親相姦、ホモだっつったら、那智は俺の元にずーっといるのか。




だったら俺、それでいいや。





紫色になる空の向こう、日は沈みかけていた。



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