(旧)ふたりぼっち兄弟【BL寄り】

俺は背中に隠れてる那智に、負ぶってやるから帰ろうと言葉を掛ける。 

  
此処に長居してもナナシ女の、違った、福島の迷惑になるだけだ。

那智も騒動で休みたいだろうし。

 
建前の台詞を並べて俺に那智は目をパチクリ。
福島はまだいてもいいって言ったけど、俺が嫌だった。

これ以上、那智を周囲と接触させたくなかったんだ。
取られる気がして。


俺は皆に礼を言って、那智に学ラン上衣を着させる。

しっかりとボタンを留めてやった後、玄関に向かって那智に靴を履くよう言う。


靴を履いた那智を確認した俺は、小さい体を背負った。
小さな手が俺の肩をギュッと握ってくる。

その手が俺の荒れる心を癒す。
那智は俺を求めてくれている、そんな優しい錯覚を夢見る。


俺等が帰るってことで、浩司と優一も帰るらしい。

よくよく考えてみれば、素性もあんま知らない女の家に邪魔したんだ。

安河内ならまだしも、二人が長居する理由は無いだろう。安河内は福島の家に残るみたいで、福島と一緒に俺等を見送ってくれた。

この時ばっかりはちゃんと皆に再三礼を言って頭を下げる。
成り行きだけど助けてもらったしな。

場は弁えている。
他人なんざ本当の意味で俺等を救ってはくれないだろうけど。


俺は那智を背負って、優一と浩司と一緒に帰路を歩く。

よっぽど俺の身内に興味があるみたいで、二人、特に優一は俺等の方に何度も視線を送ってくる。

視線を気にしながらも、那智は俺に擦り寄って甘えてきた。

「どうした」

那智に声を掛けると、

「兄さまの背中ちっさくなった」


笑顔を零してくる。

そりゃてめぇがでかくなったからだろ。

俺は目尻を下げて、那智を背負いなおす。

極力、怪我のことは触れないようにした。

今はなるべく那智の笑顔を見ていたい。


那智には笑っていて欲しい。