人懐っこい性格をしている優一が気さくに那智に声を掛ける。
「ぁぅ」
物凄く小さな声で返事にもならない返事を返す那智は、うんと頷いて俺の服を握ってきた。
まるで優一や周囲から逃げるように、俺に縋っているかのように。
―…それでいいんだ、那智。
俺はどす黒い気持ちが胸を占めた。
那智は俺だけ頼っとけばいい。他人と関係を持たなくていいんだ。
これは独占欲っつーのかもな。
「ぁぅ…、たす……ぅ…ぇ………ですっ、…ぁ…ぃ…ざ…ぃ…した…」
ボソボソッと那智が俺の後ろで呟く。
メチャメチャ小さかったからか俺には聞き取れたけど、周りには聞こえなかったっぽい。
なんて言ったのかと優一が聞いてくる。
「“助けてくれて嬉しかったです。ありがとうございました”って、那智はてめぇ等にお礼言ってる。
那智は礼儀正しいけど、俺以外の人間とは上手く喋れねぇんだ。
声掛けてもあんま反応できねぇから」
「あ、そうなのか。
うーん、そりゃ困らせたな。悪いな、那智くん」
「…ぃぃぇ……じょ…ず……くて………ごめ…ぃ…」
「うーんと、治樹。今のは。“いいえ”までは分かったんだけど」
「上手に喋れなくてごめんなさい、那智はそう言ってる。
それより那智、どうしててめぇ…、あんなところに? なんで怪我しちまってたんだ」
問い掛けに、那智は「ぅ…」俯いて俺の背中に顔を埋めてきた。
イヤイヤと首を横に振って説明しようとしない那智は、まだ思い出したくないようだ。
―――…那智が傷付いてる。
弟を傷付けてもいいのは…、那智を守り続けた俺だけなのに。
「大丈夫だよ。此処には傷つける人、いないから」
安河内が那智に声を掛ける。
那智は、おずおず安河内を見つめた。
あ…、
傷付いてる那智を、皆に見せたくない俺がいる。
なんだ、この焦燥感。
那智を取られる―…気がする。
これ以上、此処にいちゃ不味いっ。
「ぁぅ」
物凄く小さな声で返事にもならない返事を返す那智は、うんと頷いて俺の服を握ってきた。
まるで優一や周囲から逃げるように、俺に縋っているかのように。
―…それでいいんだ、那智。
俺はどす黒い気持ちが胸を占めた。
那智は俺だけ頼っとけばいい。他人と関係を持たなくていいんだ。
これは独占欲っつーのかもな。
「ぁぅ…、たす……ぅ…ぇ………ですっ、…ぁ…ぃ…ざ…ぃ…した…」
ボソボソッと那智が俺の後ろで呟く。
メチャメチャ小さかったからか俺には聞き取れたけど、周りには聞こえなかったっぽい。
なんて言ったのかと優一が聞いてくる。
「“助けてくれて嬉しかったです。ありがとうございました”って、那智はてめぇ等にお礼言ってる。
那智は礼儀正しいけど、俺以外の人間とは上手く喋れねぇんだ。
声掛けてもあんま反応できねぇから」
「あ、そうなのか。
うーん、そりゃ困らせたな。悪いな、那智くん」
「…ぃぃぇ……じょ…ず……くて………ごめ…ぃ…」
「うーんと、治樹。今のは。“いいえ”までは分かったんだけど」
「上手に喋れなくてごめんなさい、那智はそう言ってる。
それより那智、どうしててめぇ…、あんなところに? なんで怪我しちまってたんだ」
問い掛けに、那智は「ぅ…」俯いて俺の背中に顔を埋めてきた。
イヤイヤと首を横に振って説明しようとしない那智は、まだ思い出したくないようだ。
―――…那智が傷付いてる。
弟を傷付けてもいいのは…、那智を守り続けた俺だけなのに。
「大丈夫だよ。此処には傷つける人、いないから」
安河内が那智に声を掛ける。
那智は、おずおず安河内を見つめた。
あ…、
傷付いてる那智を、皆に見せたくない俺がいる。
なんだ、この焦燥感。
那智を取られる―…気がする。
これ以上、此処にいちゃ不味いっ。



