(旧)ふたりぼっち兄弟【BL寄り】

「サイッテー男! ブラコン!
被害妄想弟の兄貴、ちょっと反応しなさいよ!」


―――…最後のそれだけは聞き捨てなんねぇ。

なんで弟が悪く言われなきゃなんねぇんだ。

俺は匙をテーブルに叩きつけて、

「いい加減にしろ!」

声音を張って椅子を倒す。

「お、おいおい」

浩司が驚き、

「ちょ…」

落ち着くよう優一が宥めてくるけど、今のだけは聞き捨てなんねぇ。


「てめぇな。朝から俺に付き纏いやがって何だってんだ!」

「あんたが無視するからでしょ!
しっかり弟のことになると反応しちゃってっ、このブラコン!」

「どう言われようとも結構だが、弟への悪口(あっこう)だけはやめろ。
あいつは関係ないだろうが。それとも何か? またてめぇは那智を傷付けにでも来たのか?」

「あーあーあ、出ました出ました。被害妄想!
あたしは弟くんを傷付けた覚えございません」

「ンだと? あれだけ那智を動揺させておいてッ…、あいつがどんだけ傷付いたと思ってやがる!」

「それが被害妄想だっつってんの!」


あ、もう駄目だ。
こいつとは馬が合わねぇや。ぜってぇに。

一発かましてもいいか? いいよな?

スーッと目を細める俺の殺意に気付いてるのかいないのか、ナナシ女はフンと鼻を鳴らして腕を組んだ。


「彩加に一言でいいからちゃんと謝って。
あんたが真摯に謝れれば、あたしも弟くんに謝るわ。
一昨日の様子、確かに尋常じゃなかったみたいだし。傷付けた自覚はあるのよ。一応」


嘘付け。

俺は冗談言うなと腕を組んで、ナナシ女にそっぽ向いた。


「謝ってもらわなくて結構だ。
俺も謝る気なんざねぇし、那智だっててめぇに会えばまた動揺する。願い下げだ」

「譲歩案さえ打ち崩してくれるッ…、あんったっ、ほんと情がないの?!」

「てめぇがねぇって言ったらねぇんじゃねーの?」