【リビングキッチンにて】
(PM07:03)



「ゲッ。今日もカレーかよ…、昨日も一昨日もカレーだったのに。
作り置きにも程があるだろ。

だったら金を置いてけっつーんだ」



シンと静まり返っているキッチンに立つ俺は、鍋の中身を見て小さく溜息。

悲しき、んでもって素晴らしいことに三日連続カレー。
連チャン同じメニューに、飽き飽きとウンザリが気持ちを占めているところだった。


まあ、飯の用意をしてくれるだけでもマシか。


俺は火を掛け、鍋を温め始める。
今日もカレーっつったら弟、なんっつーだろうな。

怒るか? 飽きたって嘆くか?



「兄さま。お夕食はなんですか?」



思った傍から弟の登場。


“兄さま”なんて古風な呼び方をする幼い弟に目を落とし、


「昨日と一緒」


苦々しく言ってやる。


ふーんと相槌打つ弟・那智(なち)はあまり興味が無さそうだった。


腹が膨れれば、それでいいって思ってるのかもしれねぇ。

だったら、那智ってガキにしちゃ枯れてる思考の持ち主かもな。

俺なんて三日連続カレーでウンザリ果てているのに。