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鳥井さんはマンション暮らし。
えーっと十階建ての七階に住んでる。

借金があるそうだけど、意外と豪華な部屋に暮らしてるみたい。


「借金持ちのくせに3LDKはねぇよな」


って兄さまは悪態ついていた。


話によると鳥井さんは施設暮らしの弟さんと一緒に暮らす準備のために、わざわざ広い部屋を無理して取っているとか。

無理してって言っても、鳥井さん、借金を抜かせば結構な収入らしい。

おれには難しい話、よく分からないけど。



鳥井さんはおれ達にその内の一室を貸してくれた。

鳥井さんの部屋は全体的に洋室造りの部屋だけど、おれ達に貸してくれた部屋は和室。綺麗で畳の良い香りが鼻腔を擽った。

兄さまがベッドじゃなくて敷布団で寝たいって要望を出したらしい。

だから鳥井さんは和室を貸してくれた(真新しい敷布団も用意されていた!)。


最初こそ鳥井さんとの出会いは最悪だったけど、今は好感度を持てるほどだ。

まあ…鳥井さんは兄さまに脅されて渋々って感じだったけどさ。


和室に喜び浸っている俺を余所に、兄さまは鳥井さんと今後の生活とか仕事を話していた。


仕事…。

おれはまだ子供だから兄さまを手伝えないけど、大きくなったら兄さまの手伝いをする。そう心に決めてる。

暫くは兄さまも、お仕事をせずに家に引き篭もるらしいけど(おれ達…お尋ね者だしね)。


あ、そうそう。

鳥井さんから注意事項を受けた。


えーっと確か…、



「俺は大抵夜に仕事行ってるから、いちゃつくなら夜にしてくれよ」



とか、言われてたっけ?

おれと兄さまはいちゃついてるんじゃなくて、愛情を補ってるんだけどな。


言葉通り、鳥井さんは夜にお仕事に向かった。

だからおれは久しぶりに兄さまと何事も無い平和な夜を過ごすことになったんだ。