部屋に今すぐ連れて行きたい、とストーカー。
でも簡単には連れて行けないと思うから…、彩加は綺麗に綻び、目で合図。
「はいはい」言うや否や優一は素早く銃を放り出して治樹に向かって、ワイシャツの上から携帯型の非殺傷性個人携行兵器(=スタンガン)を押し付ける。
時刻は夜、視界が悪かったために、治樹の判断力が一呼吸出遅れた。
そのため振り返ることはできたが、
腹部にそれは押し付けられる。
痛みと電流が同時に走った治樹は、想像絶する痛みに悲鳴すら上げられず、直立が崩れた。
脂汗を滲ませながら、両膝をついて腹部を押さえている。
その光景さえ素敵だと陶酔するストーカー、否、主犯者。
一本取ったと喜ぶ、無邪気な共犯者。
取り敢えず、現時点では被害者的立場な殺人鬼。
川のほとりで起こっている光景はすべて、異質に見えることだろう。
「さいっ…あくだな」
息も絶え絶えに苦痛に耐える治樹は、虐待で与えられていた痛みをも超える痛みかもしれないと皮肉。
やっぱり那智を連れてこなくて良かった。
苦痛に安堵の息が混じっていた。
「あ、やっぱ意識ある?」
優一は治樹を見下ろし、持っていたスタンガンを眺める。
「スタンガンってさ。
よく、押し付けられた人は気絶するってドラマであるけど。
本当は気絶することはないんだってさ。
まあ痛みによるショックや心臓発作で気絶するパターンはあるけど。
ちなみにこっちの銃はただのモデルガンでしたー。
銃なんてそう簡単に手に入らないしさ! いや、寧ろ捕まるって!」



