一世一代の告白なのだが(自画自賛するほど熱の篭った告白のつもり!)、冷然としている治樹は「お前はストーカーだったのか」呆れ返っていた。大層呆れ返っていた。
気色が悪いと治樹は鼻を鳴らすが、今の彩加には効かない。
表向きであれば傷付いた振りをするのだが、もう振りなどできないのだ。
嗚呼、分かっている、彼の素っ気無い態度は照れ隠しなのだ。
傍から見れば冷たく見えるけれど、彼はとても優しく微笑む人。
自分に微笑んでくれる人。
自分のものなのだ。
彼の弟のものなんて断固反対だ。
「チンピラさんには下川さんを捕まえてくれるよう頼んだだけ。
抵抗して傷付いても癒してあげるつもりだったんだ。
部屋も用意してたのに。
あ、勿論これは現在進行形、今も下川くんのために部屋は用意してる。下川くんだけの部屋を」
「てめぇは俺を監禁するつもりだったのかよ。
だが残念だが、俺は監禁される予定なんざ念頭にもねぇ。俺のすべては弟のものだ」
「大丈夫、それも忘れさせてあげるから。私は諦めない」
カチリ―。
彼の背後から安全レバーの降りる音が聞こえた。
彩加は勝利を確信。
「最悪」治樹は流し目で背後を見やると肩を竦める。
一方、「怪我したくないでしょ」彩加は目を細めて笑った。
鉄道橋の下は殺伐とした空気が流れ、川沿いに建っているビル達の明かりが川面を反射、川のほとりに立つ者達を仄かに照らした。
眉根を寄せる治樹は、ゆっくりと彩加を見据えて語り部となる。
「高村。てめぇは俺に告白した日、俺を物にできないことに煮えた気持ちを抱いた。
少しならず殺意を抱いた筈だ。
俺の読み的には“フった腹いせ”だったんだが、てめぇの話を聞く限り、こう思った筈。
“どうにか物に出来る方法はないか”ってな。
だから大学を休んで、虎視眈々と機会を狙っていた。
表面じゃ引っ込み思案を装っておいて、裏じゃ手ぐすね引こうとしていたわけだ」



