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【静寂満ちた
とある鉄道橋の下にて】
特急らしき電車が橋に敷かれたレールを喧しく通り過ぎていく。
電車が過ぎた後は、静寂が満ちる。
近くに川が流れているから、そこのせせらぎを耳にしてみたり。
はぁ…、熱い吐息をついて、待ちぼうけ。
だけどいいのだ。
彼が此処に来てくれるというのだから。
俗に言う自分はストーカーに類されている人間かもしれない。
NO、彼に対する愛が深いだけだ。
いつも鋭い眼光を放っている彼を遠くから見つめ、目で追い、その内我慢が出来なくてバス停までついて行く。
欲求不満、一緒にバスに乗って彼を追う。
満たされない、二人掛けの席にひとりで座って読書している彼の傍まで歩み寄ってみる。
ダメダメダメ、彼の隣に一度だけ腰掛けてみた。
彼は素知らぬ顔で本の世界に浸っている。素っ気無いところが愛おしい。
もっと近付きたい、勢い余って彼の家まで付けてみる。
嫉妬心を抱く、誰に対しても棘を纏っている冷気が一変、家前で待っていた中学の子供に柔らかな笑みを向けていた。
ガキ如きに!
だけど笑みは食べちゃいたいほどだったから写メ。
それから暫く、彼の生活を付けてみた。
中学の子供は彼の弟らしい。
いつでもどこでも二人は寄り添うようにくっ付いて歩いていた。
まるで恋人のように手なんか繋いで…、憎たらしい子供。
買い物も、外食も、何もかも、彼を微笑ませられる子供。
難なく彼に近づける子供。
腸が煮えくり返りそうだった。



