ハンドルを右に切る鳥井は、またバックミラー越しに俺を見やってくる。
俺達を含む、薄気味悪い雰囲気を纏っている後部座席がバックミラーに映っていた。
「―…親父とは別件で始末しなきゃいけねぇ奴を焙るために、どうしても、な。
一か八かの賭けだったが…、このまま未解決ってのも後味わりぃ。
入院でもしねぇ限り、奴を特定することはできなかった。
すべては見舞いの再会に賭けていた」
「例のチンピラ事件を割り出すためか?」
「ああ…、一応礼をしておかなきゃなんねぇしな」
「金と利益になんねぇ殺人はよした方がいいぜ。若旦那が困るだけだ。ついでに共犯の俺も困るけどな」
ちっとも笑えねぇ冗談をかましてくる鳥井に憮然と肩を竦め、俺は那智の頭を撫でながらネオンがやけに飾られている夜景を見つける。
赤に青に黄に緑に、夜空の星明り、星そのものの存在を掻き消すように発光しているネオンたち。
綺麗といっちゃ綺麗だけど、どっかケバケバシイ。
まるで死んだ俺等の母親のようだ。
あいつも着飾っていた。
持ち前の美貌を更によく見せようと着飾って、艶かしく男を誘って、綻んで…、ケバケバシイ女だったな。
もう過去の女になってるけどな。
あいつはもういねぇ。
ふたりぼっちの世界を穢そうとしたあいつは、自ら身の破滅道に足を踏み込んだ。放っておけば良いのにな…、馬鹿な母親。
ンでもって馬鹿な父親だ、あいつもまた破滅の道に足を踏み込もうとしているんだから。
……、そういう俺等も馬鹿か。
一歩間違えれば、俺等の身が滅ぶ。
馬鹿なのはカゾク揃って同じか。
構成員として、唯一繋がっている、俺等の共通点。
それは誰彼みんな馬鹿だってことだ。皆がみんな取り返しのつかないことをしてる。
俺は軽く目を閉じた。
膝に感じる重みを感じながら、揺れる車内に身を委ねながら、抱く殺意を噛み締めながら。



