「こうやって眠らせとかないとまた付いて来ちまうだろうからな。
大人しく俺の言うことを聞いて車に残る…、なんてないだろうしな。
今の那智は俺のためなら自分の手を汚す。
母親の一件も…、まさか俺の後を追ってくるなんて。
優しい性格の持ち主だった筈の那智が、自分の手を汚しちまうなんて予想だにしなかった。
今度はちゃんと車にいてもらわねぇと。こっちの肝が持たねぇ」
那智は生き物に対しては愛しみを抱いていた。
なのに那智は人を刃傷させた。
震えながら、自分の罪を理解した上で俺のために刃を向けた。
純粋すぎる性格が那智に殺意を抱かせた。
嬉しい反面、俺は憂慮を抱いている。
今は罪悪を感じなくなってるけど、いつか、自分の犯した罪を思い返して傷付くんじゃないかって。
狂気染みても那智の性格の根っこは変わっていない。
俺に従順で、本当は誰にでも優しい奴なんだ(あんま誰彼優しくして欲しくないけど、那智の性格上、誰にでも優しくする性格だ)。
そんな那智の手を、もう汚したくない。
今度こそ大人しく車で留守番してもらわないと…、那智、全部終わったら静かに暮らそうな。二人っきりで。
「毎度まいど思うけど愛されてるねぇ、治樹お兄さまは。
しかしよ、若旦那。
今更だが入院する必要性はあったのか? 寧ろサツの目が厳しくなっただろーに。
親父を始末して終わりだろ?」



