(旧)ふたりぼっち兄弟【BL寄り】


鳥井が運転席に乗り込むと、俺からキーを受け取ってエンジンを掛ける。
ゆっくりと車は発進し始めた。

俺はチラッと那智に目を向けると、助手席に放置されていたコンビニ袋を手に取って深くシートに座った。

袋の中には弁当やらペットボトルやら菓子類やら…、個包装されてる小さな錠剤やら。

まず小さな錠剤を隣にいる那智に気付かれないように開けて、丸い塊をペットボトルに落とす。

蓋をして軽く振った後、溶けたかどうか確認。
十二分に確認した後、「那智」俺は窓の外を眺めている弟に声を掛けた。


「那智の好きなオレンジジュース。飲むだろ? ほら」

「わぁ、ありがとうございます。あ、でも一つしかないんじゃ」

「兄さまと半分だ。それでいいだろ?」

「はい」


笑顔で中身を飲み始める那智は、オレンジジュースの甘味にご満悦のようだ。
その後、俺の持っている袋の中身を気にし始める。
菓子類に惹かれているようだ。

だから板チョコを割って那智の口に放り込んでやる。
久々のチョコに那智は凄く嬉しそうだった。病院じゃこんなの食えなかったしな。

またゴクッと喉を鳴らしてジュースを半分ほど飲み干した那智は、暫くご機嫌だったけど、その内欠伸。

「疲れちゃったのかなぁ」目を擦り始める。


「兄さま…ちょっとだけ寝てもいいですか? 眠い」

「ああ、無理に柴木の相手させたしな。少し休め。疲れちまったんだろ。
まだ体も病みあがりだしな」

「んー…、そうなのかなぁ…」


うとうと。うとうと。うとうと。欠伸。

コックリコックリ…、首が上下に動き始めた那智は、そのまま俺の方に凭れて寝息を立て始める。

体を揺すったり名前を呼んだりして、那智がしっかり寝たかどうかを確認。

薬が効いたと分かるや否や、俺は那智の頭を膝に乗せて髪を梳く。


これで暫くは那智も起きないだろ。



「あーらら。愛おしい片割れを寝かしつけていいのか? これから仕事があるってのに」



バックミラー越しに鳥井が視線を投げてくる。

フンと鼻を鳴らした俺は、「那智を汚したくねぇ」率直に言ってやった。