(旧)ふたりぼっち兄弟【BL寄り】

見下ろせば、小さな頭に巻いている包帯が月光に照らし出されて青白く染まっている。
 

「遅いです…」


兄さま、いつ来てくれるのかと不安を抱いちゃいました。

ひとりで頑張ったのだと愚図る那智は寝巻きの姿のまんま。俺の傍を離れたことに身を震わせている。

俺は目を細めて口角をつり上げると、「悪かったな」体を抱き締めて温もりを確かめる。

怖い思いをさせてしまったことを詫びて、上手くいったかと運転席に視線を投げ掛けた。そこには崩れるようにハンドルに凭れ掛かっている益田の部下。

長い髪と腕を垂らしてハンドルに凭れている柴木は、よく眠っているようだ。


那智にはあらかじめ薬を染み込ませた肌理(きめ)の細かいハンカチを持たせておいた。


たっぷりと染み込ませた薬を、隙を見て嗅がせるよう指示。


失敗してもこっちで上手くやるからと、軽く腕にハンカチを巻いて寝巻きの内側に忍ばせておいたんだ。


益田も柴木も俺等にとって計画の妨げになるからな。


失敗した時は、鳥井に始末してもらおうと思ってたけど、那智は上手くやってくれたようだ。
多分、那智のことだから泣きじゃくっている振りをしつつ、隙を見て柴木に襲い掛かったに違いない。

俺にとっちゃ可愛い奴極まりないけど、他から見れば可愛くない小悪魔だろうな。



「若旦那、時間はねぇぞ」



鳥井がこっちだと誘導してくる。

俺は愚図る那智の手を引いて、鳥井の後に続いた。向かう先は鳥井が病院の外。
直ぐ近くのコインパーキング。鳥井はそこに用意していた車を駐車していた。

また出費が加算する、愚痴を漏らしながら俺にキーを渡すと自分は支払うために精算機へ。

俺は那智を連れて車の後部席に乗り込んだ。


車の中に積んでいた私服を手にすると、俺は那智を着替えさせる。


寝巻きは目立つからな。

頭に巻いている包帯も取ってやった。