「坊主…、那智くんも苦しいんだよ。罪を犯したことに。お母さんを殺したこと、認めてたぞ」
「違うチガウチガウチガウ。
那智は何もしてねぇ。俺の傍にいるんだ、これから先も」
「坊主! お前、兄貴だろ!
那智くんの気持ち分かってやれねぇでどうするよ。
那智くん、坊主に嫌われるんじゃないかって泣いてたんだぞ」
だから…、もういいだろ。
隠したっていつかはばれるんだから、なあ?
説得を試みる。
治樹はクシャッと顔を顰めて、「那智は俺のなんだ」毛布を握り締めた。
頼むよ、お縄についてくれ。
益田が彼の肩に手を掛けた刹那、治樹は一変、シニカルに笑みを浮かべた。
「益田。那智はてめぇが思うほど純情な奴じゃねえ。いい子でもねぇ」
「んだって?」
「俺の弟は罪の重さなんてとっくの昔に感じなくなってる。
那智は可愛い俺の弟。
あいつは俺の“言葉”にだけ」
ガンッ―!
「従い反応する、俺の最愛人だ」
益田の脳天に、そんなに鈍い金属音が響いた。
ブラックアウトする視界の中、「残念だったな」皮肉交じりの笑声が鼓膜を振動。
嗚呼、なんてガキ共だ。
凶悪犯だったらしい、この兄弟。
益田は喪心する際、そんな毒を心中で吐いたのだった。



