お れ の し た こ と 。
二人は顔を見合わせた。
これはもしかしてもしかすると、である。
「どうしよう…」
兄さまが体調壊したのは自分のせいだ。
このままだと、もっと兄さま、体調を崩して寝込むかもしれない。
那智はカップを握り、口をへの字の曲げた。
言った方がいいのかな、でも兄さまと一緒にいられなくなる。だけど兄さまの体調も心配だし。兄さまに嫌われちゃう。
揺れている那智の気持ちを酌んで、「兄ちゃんは好きだよな」益田はくしゃりと少年の頭を撫でてやった。
うん、頷く那智にそうかと頷き、「だけどな」やや厳しく言ってやる。
「悪いことを、仮に坊主がしたなら…、そりゃあ坊主が悪い。兄ちゃんを巻き込んじゃいけねぇ」
「ぅう…」
「坊主。兄ちゃん好きかもしれねぇけど、悪いことはちゃんと白状しないといけねぇ。
坊主のためにも、兄ちゃんのためにもなんねぇし。
坊主のしたことを隠してくれる兄ちゃん、もっと体調壊すかもしれねぇぞ」
兄ちゃんのことを思うなら、何をすべきか考えろ。
益田の言葉に那智はまた口を閉ざす。
湯気立っているカップの中身を覗き込み、スンと鼻を鳴らして、軽くカップに口を付けるとそれをゆっくり傾ける。
半分以上残っているココアの中身を見つめた後、「くるしいんです」那智がそっと口を開いた。
「兄さま…、守ってくれるんですけど…隠すこと…、とてもくるしい…」
でもですね、刑事さんに言ったら兄さま、「一緒にいられなくなるから」って口止めしてくるんです。
おれ、兄さまと一緒にいたいし、大好きです。
だけど反面、おれの犯した罪、くるしくて重くなる。
兄さまもきっと同じような思いしてると思うと…。
ツーッと那智の目尻から涙が零れた。
兄さまに嫌われるのは恐い、一緒にいられなくなるのは恐い、でも辛い。
カップを抱えたまま、スリッパを脱いで膝を抱えてしまう那智に、「お母さんのことだけど」柴木が優しく問い掛けた。



