(旧)ふたりぼっち兄弟【BL寄り】




「ちょ、相変わらずあんた、思考が病んでるわよ。下川」




と、福島さんが呆れながら指摘。
兄さまの狂気じみた感情に怖じる素振りは見せなかった。


「病む? 俺は普通だ」

「あのねぇ下川、前にも言ったと思うけど兄弟でも那智くんとは別個の人間。そうやって依存してても、不幸せなだけよ」

「そうだな…、下川。少しは弟離れしないと」


福島さんと浩司さんがタッグを組んで言ってくる。
兄さまは自問自答を始めた。


「不幸せ? 何が?
俺の不幸せは独りになること。
誰にも必要とされず、見向きもされず、無視されて日々を過ごすこと。

ひとりになったらまた、おれはそんざいかちのないにんげんになる。
あれ、じゃあおれはどうしていきてるんだ?

ん?
なんでおれ、かあさんにたたかれて…、ひつようのないにんげ…、だから?」


あ、やばい、兄さまが動揺し始めた。

「兄さま、落ち着いて」おれは上体を起こして、焦点の合わない兄さまの背中を軽く叩いた。


だけど兄さまは乱心。
目に見えるほど体を微動させて、奥歯をガチガチと鳴らし始める。

 
「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ! ひとりはいやだ!」


何度も奇声、独りは嫌だと喚き始めた。
ガリガリと自分の二の腕を引っ掻いて傷付ける兄さま。

拍子に兄さまの持っているフルーツカゴが床に落ちて、フルーツが飛び出るけど、それに構わず兄さまは嫌だと連呼。


ガタガタと身を震わせている兄さまに危険を感じたのか、刑事さん達はお友達さま達を病室の外に避難させる。
優一さんや福島さんは、避難なんてしなくても大丈夫。


それよりも兄さまは大丈夫なのかって抗議してたけど、刑事さん達は問答無用で見舞い客を病室外へ。
医者を連れてくるとか何とか会話が聞こえてきた。


おれはと言うと、慌てず騒がず急がず、奇声を上げて自虐行為を始める兄さまの頭を抱き締めた。


それでも兄さまは暴れる。


本当に動揺してるみたいだ。