もしかして刑事さん達は、兄さまの友達を連れて来て、兄さまを揺する作戦に出たんだろうか。
お友達さまからそんなことを言わせるなんて。
普通、事件に巻き込まれていたとしても相手に配慮して、話題には触れないようにするだろうに。
敵なのかな、あの人達は兄さまを傷付ける人なのかな。
だったら、おれ…。
懸念と殺意を抱くおれに対し、兄さまは「さあ」曖昧に返事をした。
分からない何も分からない、憶えていない、うそぶく子守唄を口ずさみながら、ポンポンッとおれの頭を軽く叩いた。
まるで殺気立っているおれを落ち着かせるように。
事件のことはよく憶えていないのだと、兄さま。
最後の記憶はおれと一緒に部屋で寛いでいたところまで。
後はどうなってこうなったか、その経緯すら憶えていない。兄さまはまた一つうそぶいた。
刑事さん達は疑念の目でおれ達を見てるけど、真に受けたお友達さま達は「そっか」と一つ相槌。
それ以上のことは聞いてこなかった。
兄さまを傷付けるような真似はしないみたい。良かった。
「災難続きだな、下川も」
微苦笑を漏らす浩司さん。
兄さまは頷いて不機嫌顔作る。
「ああ、本当に災難だ。
少し前に遡って思い出してみると、那智は通り魔に襲われるし、兄弟揃って自宅近くでチンピラに襲われるし、挙句の果てに入院。容疑まで掛かってる。散々だな」
「チンピラって俺等とファミレスで飯食った時?」
優一さんの問い掛けに、兄さまは肯定の返事。
そしたら高村彩加さんって人が、
「公園じゃなかったっけ?」
とオドオド聞き返してくる。
自宅近くで襲われたんじゃなくて、公園だって聞いたよ、高村さんの台詞に兄さまは「そうだった」意味深に頷いた。
他の皆はきょとんとしてる。
何の話だろって顔を作っているようだった。
兄さまは、ふと気付いたように、高村さんに眼を向ける。
「ファミレス…、一緒に食いに行ったっけ?」
「え…、ううん。私は朱美と友香から聞いて」
表情を強張らせる高村さん。
なんだか怪しい…、「しまった」なんて顔を作ってる。



