「刑事さん…、もしもですけど…ワルイコトしたら…兄さまと…一緒、いられなくなる? 例えば…、殺人とか…」
二人は糸口を手にすることに成功する。
「何かしたのか?」益田が尋ねれば、「もしものお話です…」那智は目を泳がせてオドオド。
挙動不審なところが怪しい。
あうあうと焦りながら、言ってはいけなかったのではないかと焦る那智に、「大丈夫よ」柴木は声を掛けた。
「お兄さんには言わないから。だから、どうしてそんな質問をしてくるのか教えて?」
「―――…興味本位です」
「興味本位で、ンな質問しねぇよ坊主」
「……。理由言って…ばれたら、兄さまに嫌われちゃいます…。でも…。でもなぁ」
那智の中で葛藤があっているらしい。
言おうか言わないどこうか、大きく迷っている。
「例えばだ」
埒が明かないため、益田が話を切り出す。
「殺人ってワルイコトをしたら、そりゃ警察に捕まる。罪ってのを償わなきゃならねぇ。人の命を奪ったんだ。
兄ちゃんと離れ離れになってでも罪を償うってのが筋だ。
でもな、ちゃんと罪を償えばまた兄ちゃんと一緒にいられる」
「償う間はひとりぼっち…、ですよ?」
「ひとりじゃねえ。ぜってぇ誰かが助けてくれる」
「嘘です、おれ達のこと…、…誰も助けてくれなかった!」
虐待のことを言っているのだろう。
嘘だ嘘だと那智は繰り返す。
嘘じゃない、益田は那智の言葉を遮った。
同時に扉が開いてしまい、話は打ち切りとなる。
何故ならば、兄が戻ってきたのだから。
兄・治樹は紙パックのジュースを片手に片眉をつり上げる。
「何の用だ」
舌を鳴らす治樹は、さっさと帰るよう冷然と言い放ち、ベッドの上にいる那智の元へ。



