だけど三日経つと、折角の二人の時間が崩された。
丁度あやとりをしていた俺等の前に、梅林と刑事二人が現れたんだ。
那智は初めて会う大人達に怖じて、あーとかうーとか唸りながらコソコソと俺の背に隠れちまう始末。
俺はそんな那智の頭を撫でた後、「何か用ですか?」素っ気無く大人達に聞く。
指に絡まったあやとりを取りながら。
「刑事さん達がお話したいそうなの。少し、お話をいいかしら?」
梅林は俺等に優しく聞いてくる。
なんか妙に子供扱いされてる気がするな。
俺は相手を流し目した後、冷たく肯定の返事を返した。那智をより背に隠しながら。
スツールに腰掛ける刑事二人は、まず俺等に見舞いの品なのかドロップを二缶渡してきた。
受け取る俺は眉をつり上げる。
那智はともかく俺までドロップ…、別に文句はねぇけど。
「あ、お菓子」
那智がひょっこりと背から顔を出し、物欲しそうに指を銜えて俺を見上げてくる。
クイクイッと裾を引っ張って俺に許可を求めてくる弟。
仕方が無しに俺は缶の蓋を開けて適当に飴玉を取り出すと、「あーん」那智に口を開けるよう指示。
「あーん」那智は行儀よく口を開けた。
優しく放り込めば、「いちごさんです」美味しいおいしいと笑顔を作って那智は俺を見上げてくる。
良かったな、俺は那智の頭をグシャグシャに撫でた。
「仲が良いな。坊主達」
益田に言われて、那智は気まずそうに俺の背に顔を埋めてくる。
怖がらせたかと益田は苦笑い。
一変、本題を切り出す。
「坊主達が見つかったのは公衆トイレの個室だったんだが…、その前からお前達、火事で行方不明になっていた。
率直に聞く。何処にいたいんだい?」
「わかんね。気付けば此処にいた」
俺は即答した。
「何も憶えていないの?」柴木の問い掛けに俺は頷く。
向こうはある程度、俺らの反応を予測していたみたいだ。
「お母さんが亡くなったんだけど」と、まるで俺等の反応を試すように柴木が聞いてきた。
途端に俺は瞠目、一変して破顔。
「そりゃ良かった」無邪気に笑ってみせる。



