(旧)ふたりぼっち兄弟【BL寄り】



「目が覚めましたか。下川治樹さん」


と、見知らぬ女に声を掛けられて、俺は警戒心を抱く。

ビクッと肩を震わせる俺に対し、


「此処は病院です。お名前、分かります?」


見るからに看護師のような身形をしているそいつは、俺に名前が分かるかどうか聞いてくる。

分かると返答。
良かった、そいつは目尻を下げた後、「今、先生を呼んできます」営業スマイルで応対。
さっさと部屋から出て行く。


ワケも分からず俺は目を白黒させた。


なんで先生? 病院?

何が、どうしたら…、病院なんかに。


混乱している俺を余所に、数分もしない内に看護師が医者を連れて来て俺を診察。
軽い質問をされて、俺はそれに答える。

名前とか、生年月日とか、日本の首都とか、今の天気とか。
馬鹿みたいな質問に、俺は訝しげな気持ちで答えていくしかなかった。


「もう大丈夫です。
少し記憶がショックで混乱しているみたいですが、何も心配する必要はありませんよ」
 
 
「記憶? ショック?」

「時間が経ち次第、徐々に思い出せます。とにかく安静に」


激しく動いてはいけませんよ。
なんて注意してきやがった。


だから何がどうなって…。


混乱する頭を捻っていると、医者とは入れ違いにこれまた見知らぬ男女が入って来た。

どう見ても医者や看護師じゃねえ。

俺はギッとそいつ等を睨む。
そいつ等は医者と軽く会話した後、医者に会釈して俺に歩み寄って来る。
「誰だ?」問い掛ければ、「刑事さんかな」益田って男が朗らかに笑い、「柴木です」生真面目そうな女が会釈してきた。


刑事?

俺はますます混乱する。


なんで刑事が…、どうして俺は病院に…。
どうやら俺は個室の病室に寝かされてるようだけど。

どっかりとスツールに腰掛ける益田は、俺の顔色を窺ってくる。