(旧)ふたりぼっち兄弟【BL寄り】


実の父親には別の家庭があるのだが、下川芙美子とは籍をしっかり入れている。

別の家庭では内縁の夫婦として日々を過ごしているようだが、恋人ばかり作る下川芙美子といい、夫の下川道雄といい、夫婦は揃ってろくでもない両親らしい。


虐待されていても夫は見てみぬ振りをしていたと、近所の聞き込みで分かっている。


夫婦は当然ながら虐待されていると分かっていながら近所も通報等しなかった。


同情心を煽る家庭環境、そして周囲の環境。

過酷な状況下で兄弟は生きていたらしい。


どういう経緯で二人暮らしに有り付けたか分からないが、実家で暮らしていた時はさぞ地獄であっただろう。


「兄は小中高大、しっかり学校に通えているみたいですが…。

弟の方は情報によると、中学から保健室登校を繰り返していたようです。
担任によれば虐待の痕をクラスメートに見られたからだとか。

それから…、一部の情報によれば、二人の間には些か偏愛が宿っていたようです」


「近親相姦で王手」


おどけ口調で上司は目尻を下げてくる。


「……。お見事です、益田さん」


折角オブラートに包んだのに、台無しにしてくれて。
柴木は呆れながら手帳を閉じる。

笑声を漏らす益田は、白髪交じりの短髪をクシャクシャに乱した後、「切ねぇな」事件の心情を吐露。


「ツレネェ世の中になったもんだ。
両親に愛されなかった。周囲にも助けてもらえなかった。
だから二人きりで支え合って生きて、必然的に愛し合うしかなかった。

おりゃあ、二人の関係に偏愛じゃなく、純粋過ぎる家族愛が宿っていたんだって思うけどなぁ」



「母親の一件をどう思います?」


「さあな。
安易に奴等の仕業とは言いたくないが…、兄弟の仕業じゃねぇことを願いたいもんだ。
若人がンな真似して、人生を棒に振るなんて切ねぇよ」