『これで解決だな。俺は帰る』
治樹はツンと素っ気無く、何事も無かったように身支度して教室を出て行った。
俺も急いで身支度した後、治樹の後を追った。
文庫本を読む治樹は一瞥することもなかったけど、俺は何度も礼を言った。
ハブられてる俺をあんな風に助けてくれる人、今までいなかったからこそ、治樹にお礼を沢山言ったんだ。
ついでになんで助けてくれたのかを聞いた。
そしたらあいつ、
『べつに、帰宅時間延長に堪えられなかっただけだ』
なんて言ってきた。
『だけど俺、ハブられてる上に変な噂が立ってるんだけど…』
おずおず治樹に言えば、自分に関係のあることなのかって初めて俺を見てきた。
『てめぇの噂が俺にとって何か支障があるのか?
それともてめぇは俺に噂を気にして欲しいのか?
生憎、俺は他人なんざ興味ねぇ。
大体、言わせたい奴には言わせておけばいいだろ。
どーせ噂は噂で終わる』
まず最初に俺はてめぇの噂を知らねぇ。興味もねぇ。
なんて言ってくる治樹はハブられている俺と普通に接してくれた。
久しぶりに学校で会話らしい会話をした気がして、俺は凄く嬉しかった。
翌日から俺、治樹に話し掛けるようになった。
事件が終わっても相変わらずハブりは続いてたけど、治樹が仕方が無さそうに相手してくれるから、全然苦にならなくなった。
それこそ最初は『なんで俺のところに来るんだよ』ってあしらってきたけど、
『お互い独り身だしイイジャン!』
独り身同士仲良くしよう、なんて話を持ちかけ続けていたら治樹、諦めたように俺を傍に置いてくれるようになった。
ツンツンでスルーすることも多々あったけど、あいつは俺に居場所をくれたんだ。
あいつだけはハブられている俺と普通に接してくれて…。
ハブりが消えて、三年に進級した俺はクラスメートとまた仲良くできたけど、やっぱ一番は治樹だった。
だって一番苦しい時に、助けてくれて居場所くれた奴だから。
大学だって、治樹が此処に受験するって聞いたから一生懸命勉強して同じ大学を受けたんだ。



