「まさか治樹…、行方不明になってるだなんて。
俺、ニュース見ない方だから…ちっとも知らなかった。
またひょっこりと顔を出すものだと思ってたのに」
「佐藤は下川を慕っているからな…」
「そりゃそうだろ!
俺にとって下川は大事な友達なんだから!
あいつはそう思ってないかもしんねぇけど、俺にとっては大事な…友達だし」
苦虫を噛み潰したような顔を作る優一に、朱美がどうしてそんなに慕っているのかと尋ねた。
はっきり言って性格難もいい、自己中心的な男なのだが…、ブラコンだし。
初対面なんて最悪としか印象が……。
すると優一が間を置きながらもポツポツと語り部となる。
浩司は何度も聞いているのか、「あの話か」と微苦笑を漏らしていた。
対して朱美は興味津々に耳を傾ける。
「俺さぁ。
治樹と三年間、縁があって同じクラスだったんだけど…、最初は治樹、凄い苦手でさ。
取っ付き難いし、近付くなオーラ出すし、必要最低限以上は人と関わらなかったし。
こいつとは絶対気が合わないって思ってたんだけど」
高二に進級した頃かな。
俺のクラスでハブりが流行ったんだ。
嫌な学校だろ?
俺が通ってた進学校は学区の中でも超頭の良い公立校で、しかも俺、特進だったんだけど…、勉強の鬱憤を晴らしたいのか何なのかハブりが流行ったんだ。
誰が流行らした知らないけどさ、俺、身に覚えのない疑い掛けられてクラスからハブられたことがあった。
人の彼女を寝取ったなんて噂立てられたんだ!
無いだろ? マジで!
今だって俺、童貞だっていうのにさ…、あ、今のは笑うところな。
俺、こういう人懐っこい性格だから誰とでも積極的に話しちまって…。
男女とも仲が良かったから、誰かが妬ましく思って、そういう噂を流したんだと思う。



