つまりはブラコンだった、とは口が避けても言えず。
それまで黙っていた友香もおずおずと話に加担、
「虐待の痕がありました」
家庭事情をやんわり刑事達に告げる。
他人の家庭事情を安易に語ってもいいのかどうか分からないが、刑事達なら大丈夫だろうと偏見を抱き、友香は彼等に言う。
虐待されていたことを本人から聞いた事があると。
またその痕を見た事があると。
すると刑事二人が顔を見合わせ、
「動機が見えてきたな」
益田が苦言するように溜息。
動機、それは行方不明になる動機なのだろうか。
朱美が益田に問う。
柴木が間を置くのに対し、躊躇もなく増田は説明。彼等の母親が全焼した家から遺体で見つかったのだと。
行方不明になった翌日のことだと、刑事は苦々しく説明。
それだけで動機の筋が見えてきた。
下川兄弟は疑いを掛けられているのだと。
朱美は絶句した。
そして思い出す。
彼等が鳥井という男に襲われ、返り討ち、交渉を交わしていたことを。
まさか彼等は本当に実の母親を…、まさか、あのブラコン男が実の親を殺すなんて…、否定は出来なかった。
なにせ、自分は治樹の残虐性を目の当たりにしてしまったのだから。
他人を傷付けることに迷いはなく、寧ろ他人を傷付けることに嬉々さえ感じていたのではないだろうか。
歪んだ一面は多大な恐怖を煽ったが…、少し冷静になって考えてみれば、彼は、彼等はとても哀しい生き物のような気がする。
兄弟揃って周囲から愛情を受けず、補うように兄弟同士で愛し合って、自分達の世界を作り上げて。
哀れだ、あの兄弟は。



