「兄さまの敵はおれの敵です。

お父さんが敵なら、おれが…、おれが…、兄さまはダメ。

傷付いちゃおれが悲しい。
汚れちゃおれが辛い。
泣いちゃおれも泣いちゃう。

だから、だから、おれが全部、ぜーんぶ」


兄さまのためならなーんでもできる。


呪文を唱える可愛い弟に、


「そりゃ俺の台詞だ」


那智の頭を撫でて、さっき出来なかった分まで存分に抱き締めた。


弟の温もりで罪悪が掻き消えていく。

甘い体温が過ちを霧散させていく。

心地良い温かさが次の行動を奮い立たせる。



「すべてを終わらせよう、那智。
俺達は死ぬんだから。


いや、いまひとつ、俺等は死んだんだから。


もう躊躇いも何もねぇ―――…なあ?」



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