舌を鳴らす長男は携帯を閉じて、こちらを見やってくる。
凶器に対しあまり恐怖を感じていないようだ。
一々癪に障る態度だと思う間もなく、芙美子は鋭利な刃を長男に向けて駆ける。
綺麗に避ける長男に何度も刃を向けて、傷付けようと試みる。
「母親もクソもねぇな。俺が言えたことじゃねえか」
長男は皮肉を込めて小手を払う。
拍子に長包丁がすっぽ抜けるが、怯まず芙美子は手当たり次第、物を引っ掴み相手に投げ付けた。
さすがの長男も灰皿やリモコンなどを投げられては怯みを見せる。
その内に先ほどの長包丁を目で探す芙美子。
向こうに転がっている長包丁を見つけ、芙美子は駆けた。
「クソっ、往生際が悪い」
些か向こうは苛立ちを募らせているらしい。
凶器を持たれては厄介だと思っているのだろう。
だったら尚更都合が良い。
芙美子は急いでそれを拾い上げ、「ダメ」その前に小さな手が長包丁を拾い上げた。
瞠目する芙美子の体にトン―、衝撃が走ったのは直後のこと。
小さな体が懐に飛び込んで来る。
ぎこちなく視線を下ろせば、頭一つ分の背丈と黒髪。見上げてくる幼い顔が泣き笑いを零していた。
赤い雫がポタリ、子の頬にも雫がツーッ。
「な…那智、てめっ」
何で此処に、絶句しているのは長男。
構わず次男は芙美子の腹部に刺していた長包丁を抜く。
意識がはっきりしていることから傷はわりと浅いようだが、血液はサーっと体外へ流出。
水溜りができるその場で芙美子は崩れ、次男を下敷きにする。
支えきれず次男も共に床に倒れる。
「あん…たっ」
次男を下敷きにしながらも、芙美子は子の首に手を掛ける。
それを思い切り払い、次男は長包丁の柄を握りなおした。
「お母さんはっ…おれの敵ですっ…、兄さまを傷付けもッ、汚させないっ!
これはおれの罪になるんです!」
グズッと涙を流す次男だが身を震わせ、持っていた長包丁を再び、今度は背中へ突き立てる。
凶器に対しあまり恐怖を感じていないようだ。
一々癪に障る態度だと思う間もなく、芙美子は鋭利な刃を長男に向けて駆ける。
綺麗に避ける長男に何度も刃を向けて、傷付けようと試みる。
「母親もクソもねぇな。俺が言えたことじゃねえか」
長男は皮肉を込めて小手を払う。
拍子に長包丁がすっぽ抜けるが、怯まず芙美子は手当たり次第、物を引っ掴み相手に投げ付けた。
さすがの長男も灰皿やリモコンなどを投げられては怯みを見せる。
その内に先ほどの長包丁を目で探す芙美子。
向こうに転がっている長包丁を見つけ、芙美子は駆けた。
「クソっ、往生際が悪い」
些か向こうは苛立ちを募らせているらしい。
凶器を持たれては厄介だと思っているのだろう。
だったら尚更都合が良い。
芙美子は急いでそれを拾い上げ、「ダメ」その前に小さな手が長包丁を拾い上げた。
瞠目する芙美子の体にトン―、衝撃が走ったのは直後のこと。
小さな体が懐に飛び込んで来る。
ぎこちなく視線を下ろせば、頭一つ分の背丈と黒髪。見上げてくる幼い顔が泣き笑いを零していた。
赤い雫がポタリ、子の頬にも雫がツーッ。
「な…那智、てめっ」
何で此処に、絶句しているのは長男。
構わず次男は芙美子の腹部に刺していた長包丁を抜く。
意識がはっきりしていることから傷はわりと浅いようだが、血液はサーっと体外へ流出。
水溜りができるその場で芙美子は崩れ、次男を下敷きにする。
支えきれず次男も共に床に倒れる。
「あん…たっ」
次男を下敷きにしながらも、芙美子は子の首に手を掛ける。
それを思い切り払い、次男は長包丁の柄を握りなおした。
「お母さんはっ…おれの敵ですっ…、兄さまを傷付けもッ、汚させないっ!
これはおれの罪になるんです!」
グズッと涙を流す次男だが身を震わせ、持っていた長包丁を再び、今度は背中へ突き立てる。



