(旧)ふたりぼっち兄弟【BL寄り】

ある程度の話し合い終了後、俺は鳥井に疑問を投げ掛けてみることにした。
 

「なあ鳥井、まったく仕事外の話になるんだが、欲情ってのはどういうものだって思う?
ちなみに肉体の方の欲情な」
 

煙草を吸っていた鳥井は、俺の頓狂な問い掛けに目を丸くする。
どういうものって、そりゃ息子さんが反応することじゃね? 肩を竦めながら一般論を述べてきやがった。
 
んなこと、俺も分かってるんだ。

俺が知りたいのはそこじゃない。

俺はアニメを見終わり、歌番組にチャンネルをかえている弟を見やりながら、質問の内容を変えた。


「例えば守りたい奴を急に泣かせたいとか思ったり、もっと苛めたいなんざ嗜虐心を抱いちまったり、異常なまでに肌を舐めたいとか思ったり。
嬲るが楽しい思うのは欲情か?

それが違うなら欲情ってのは、どうやったらできるもんなんだ?」
 
 
いたく真面目に質問を投げ掛ける俺に対し、ポカンと鳥井は間の抜けた顔で俺を凝視。
 
次の瞬間大爆笑してきやがった。

片眉をつり上げる俺の顔を見ては噴いてくる鳥井。


「思春期の悩みだなぁ」


クツクツ笑う鳥井はガキな一面も持ってるじゃないかと、紫煙をゆっくり吐き出す。


「若旦那、欲情してるわけ?」

「ンなの知るかよ。色欲に関しちゃまるで知識ねぇんだから。別に息子さんが反応してるわけじゃねえし」


俺は昔、那智と一緒に母親と恋人の濡れ場シーンを強制的に見せられた事がある。

多分、二人にとって興奮剤にでもしたかったんだろうけど、俺等からしたらいい迷惑だ。

眠いし、煩いし、なんかワケわかんねぇし。


そういう嫌な事しか思い出せないから息子は反応しない。


女を見ても、思春期入っても、全然だった。


自慰なんて興味もなかったし、しようとも思わなかった。
いや、やったことはあるけど、何だかなぁみたいな気分。

所謂、不感症ってヤツなのかもしんねぇけど。