「え゛? ちょ、なんでマジ泣きっ?!」
これには鳥井も度肝を抜いたみたいで、「何したわけ?」俺に説明を求めてくる。
俺は地団太を踏んで、鳥井の脛を思い切り蹴っ飛ばした。
「イテッ!」
鳥井は脛を擦ってるけど、俺は青筋を立てて奴の爪先を踏み付ける。
「鳥井っ、那智を泣き止ますのに苦労したんだぞ! また泣かしやがってッ」
「そりゃ若旦那が原因だろーよ。っつーか、爪先痛ぇ!」
「るっせぇ! てめぇのせいだ阿呆が!
あ、そんなことをしてる場合じゃ…、那智、なち。泣くな。兄さまが悪かった。な?
怖がらせた兄さまが悪かった」
わざわざメニュー表を開いて、「今度は何頼む?」話題を逸らしてみる。
グズッと泣いてる那智はメニュー表を手に取って、羅列されているメニューに目を通し始めた。
「ざいごだと思うど…」
簡単には決められない。
那智の言葉に、俺は慌てて笑顔で応対。
「那智くん、アイス食ったしな。プリンも食ったな。今はチョコレートケーキ食ってるし。
次は何にするー?
パフェなんて兄さま、いいと思うなー。
あ、お腹一杯になったなら、これで仕舞いにするかー?
なー?
最後なんてないんだぞー?
明日だって食べれるんだからなー?
というか、いつだって食べられるんですよー?
大体兄さまが、可愛い那智の舌を切るなんてするわけないじゃないですかー。
そんな残虐非道なこと絶対にしませんよー。
那智を傷付けるなんてこと兄さま、絶対にできませーん!」
「……。若旦那、言っちゃなんだがキャラじゃねえ。
誰だ貴方的気分だ、俺。サブイ」
「……。るせぇ、てめぇは黙ってろ。
俺だって本意じゃっ、あ、那智くーん、泣いちゃうと兄さまも泣いちゃうぞ」



