「―――…わぁーお、何この甘ったるいデザートの山々々々。
若旦那、いっくらなんでもこりゃねえって。
栄養価、全部砂糖になっちまいそうだぞ」
夜、ホテルのレストランにいた俺等の元を尋ねてきた鳥井の第一声がこれだった。
テーブルの上に置いてあるデザートの山々に呆れながら、鳥井が席についてくる。
専らデザートを食ってるのは那智だった。
腫れた目をそのままに、幸せそうにチョコレートケーキを頬張ってる。
あれから大変だったんだ。
どんなにあやしても那智の奴、ちっとも泣き止まないし。
罰は甘んじて受けるって言い張るし。
最後のお願いとしてケーキを一つ食べたいって嘆くし。
ナイーブになっていた那智に意地悪いこと言っちまったもんだから、那智、俺の言葉を本気の本気にしちまったんだ。
どうにかこうにか泣き止まして、風呂に入れて、こうして飯を食わせてるわけだが。
那智は飯じゃなくてデザートバッカ頼んでる。
いつもだったら注意するところだけど、今日は目を瞑ることにする。
俺なりの詫びだ。
あぁーあ、俺、どーしちまったんだ。
あんな風に那智を泣かせるなんて、初めてだぞ。
ガックシ項垂れる俺に対し、鳥井は何かを察したのか、ちょい意地悪く那智に言った。
「さてはまた兄ちゃんに泣かされたな? 目が腫れてるぞ?」
「あ、鳥井。てめぇ!」
鳥井が腫れた目を指摘。
余計な事を言うもんだから、那智、思い出したように目をウルウルとさせた。
スンスン洟を啜って、
「最後の晩餐でず」
哀しそうにチョコレートケーキを口に入れた。
「にいざまっ、おれっ、うぞづいたがらっ、舌ちょんぎっ、ちょんぎっ、うぇえっ、うぇえ」
ボタボタっと那智の目から大粒の涙が。
このチョコレートの甘さと濃厚さ、絶対に忘れない、なんて言いながらケーキを噛み締める。
その甘味にまた涙を誘われたのか、とうとう声を殺して泣き始めた。
若旦那、いっくらなんでもこりゃねえって。
栄養価、全部砂糖になっちまいそうだぞ」
夜、ホテルのレストランにいた俺等の元を尋ねてきた鳥井の第一声がこれだった。
テーブルの上に置いてあるデザートの山々に呆れながら、鳥井が席についてくる。
専らデザートを食ってるのは那智だった。
腫れた目をそのままに、幸せそうにチョコレートケーキを頬張ってる。
あれから大変だったんだ。
どんなにあやしても那智の奴、ちっとも泣き止まないし。
罰は甘んじて受けるって言い張るし。
最後のお願いとしてケーキを一つ食べたいって嘆くし。
ナイーブになっていた那智に意地悪いこと言っちまったもんだから、那智、俺の言葉を本気の本気にしちまったんだ。
どうにかこうにか泣き止まして、風呂に入れて、こうして飯を食わせてるわけだが。
那智は飯じゃなくてデザートバッカ頼んでる。
いつもだったら注意するところだけど、今日は目を瞑ることにする。
俺なりの詫びだ。
あぁーあ、俺、どーしちまったんだ。
あんな風に那智を泣かせるなんて、初めてだぞ。
ガックシ項垂れる俺に対し、鳥井は何かを察したのか、ちょい意地悪く那智に言った。
「さてはまた兄ちゃんに泣かされたな? 目が腫れてるぞ?」
「あ、鳥井。てめぇ!」
鳥井が腫れた目を指摘。
余計な事を言うもんだから、那智、思い出したように目をウルウルとさせた。
スンスン洟を啜って、
「最後の晩餐でず」
哀しそうにチョコレートケーキを口に入れた。
「にいざまっ、おれっ、うぞづいたがらっ、舌ちょんぎっ、ちょんぎっ、うぇえっ、うぇえ」
ボタボタっと那智の目から大粒の涙が。
このチョコレートの甘さと濃厚さ、絶対に忘れない、なんて言いながらケーキを噛み締める。
その甘味にまた涙を誘われたのか、とうとう声を殺して泣き始めた。



