不安だったんだ。

もしも那智が俺なんて必要としていない、そう思ったら…怖くて怖くて。


俺もほんっと救えない奴だと思う。


那智が俺を必要としていなかったら、今度は俺、那智を監禁でもしちまって必要とするまで調教してたんじゃないかと思う。

自分でも恐ろしいけど、那智はたった一人の家族で、俺の背中を真っ直ぐに追い駆けてくれた可愛い弟。

他人に取られるくらいなら…、何だってして、那智を俺から離れないよう縛り付ける。



「に…ぃー…ぁ…」



那智が小さな寝言を漏らす。
とても小さな声で漏らした寝言は兄を呼ぶ声。

身を丸くする那智に微笑して、俺は掛けてる上着ごと弟の体を抱えて膝に乗せた。


「ん」一度は起きる那智だけど、眠気が勝ったのか、また目を閉じて寝息を立てる。


垂れる首を支えながら、俺の方に頭を寄り掛からせて弟の体を軽く叩く。
その内、抱き締める。


随分重くなった体に、成長し始めた顔立ち、だけど心は幼少とまったく変わってない。



「那智は…、やっぱ俺を裏切らなかったな」



どんなことがあっても俺を第一に考えてくれる…、優しい奴。

俺はとことんその優しさに漬け込むんだろうな。






「これもまた愛ゆえに、だな」






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